FC2ブログ

Heaven's Cafe

キリシタンのあしあとを求めて・・・♪

Entries

原真由美「太平洋戦争後のアメリカの日本への宗教政策―バプテスト宣教師D.C.ホルトムの影響」

20200118_135008179.jpg

今月の横浜プロテスタント史研究会の発表は原真由美氏による「太平洋戦争後のアメリカの日本への宗教政策――バプテスト宣教師D.C.ホルトムの影響」。
原氏の言わんとするところを私がどれくらい理解できたのか分からないのですが、多少自分の解釈も加えて以下にまとめました。原氏の意見と相違する点、勝手に言い過ぎてる面もあるかもしれないので、「この人のフィルターを通すとこうなるんだな」という程度に受け止めていただけたらと思います。
1945年12月、GHQ/SCAP(連合軍最高司令官総司令部)によって発令された「神道指令」によって、国家神道は一宗派となり特権はなくなって、信教の自由、政教分離が図られたのですが、この「神道指令」はGHQ/SCAPの宗教政策を担当したCIE(民間情報局)が中心となって作成したものでした。
本発表では、CIEの宗教班担当者W.K.バンスが日本の宗教、特に神道に関する情報としてD.H.ホルトムというアメリカ人宣教師の著作を採用したことに注目し、ホルトムがどのような背景を持ち、どこで宣教に当たり、神道に関する情報をどのようにして得たのかを調べ、「神道指令」の元となった研究について考察していました。
ホルトムが来日した1910年という年は、日本が朝鮮を侵略して併合した年で、それから約30年間(太平洋戦争勃発でアメリカへ帰国する1941年まで)関東学院や青山学院で神学を教える傍ら、東京帝国大学神道教授に師事して神道を学びました。
日本がウルトラナショナリズム(超国家主義)と軍国主義へと突き進み、東アジア侵略戦争をしていった時代に、それを肌で感じながら活動していたホルトムは、日本人に深く根を下ろした精神構造がその原因であり、根幹は国家神道であると考えました。
そして日本が侵略戦争を企てないためには、ナショナリズムと軍国主義を生んだ国家神道を一つの民間宗教とし、政治と分離させることが必要であると提言したのです。
ホルトムはまた、日本が急速に近代化を進めようとする中で、国を一つにまとめるために人間を神格化する国家神道というシステムが選択されたとし、そのために個人の人格尊重が損なわれていったことを指摘。
御真影を拝むなどの行為が教育機関でも強制され、天皇を神として敬い、ひたすら盲従する「善き日本人」像が提示され、そのような臣民が作り出されたことを問題視して、改善策を挙げました。
その柱の一つが、神話のベールを拭い去り、歴史と神話とを区別することでした。ホルトムは「天皇が神とされることは宗教的な意味を有しない」と述べ、天皇が神の子孫であるといった考え方や、特別な家系であるから他国の元首に優るという考え方を禁止すべきだとしました。

また日本人が特別な民族であるから他国人に優るとする主義主張も、侵略戦争および(他国の紛争解決の手段と欺いた)武力行使に傾く危険性があるとして、禁止すべき項目に挙げました。
原氏は「神道指令」後に、ホルトムが神道に関する省察を深め、戦死者を神として祀る(神格化する)「軍事的理想を高揚し軍事的性格を持つ神社」が存続することを問題視していたことにも触れていました。

20200118_151835242.jpg

以前書いた本に、戦後加筆したホルトムは、超自然的な権威に依存することが、個人の責任という観点を弱めると述べ、それを日本人の課題だともしています。しかし一方で、「永遠の価値」と題された章には、民主主義への期待と日本の役割についても書かれ、宣教師としての愛ある眼差しがうかがえるということでした。
私としては、GHQ/SCAPの宗教政策に宣教師の意見が反映されていたことを初めて知るようになったので、それだけでも大きな収穫でした。日本が軍国主義に傾き、泥沼の戦争に突き進んでいくときに、人知れず戦後の宗教のあり方が宣教師によって検討されていたというのは興味深いことではないでしょうか。
========
発表の後はディープな質疑応答があり(私の知識がついていかずフォローできてません;;)、新年最初の会だったので終わってから懇親会へ。中華料理をいただきながら、皆さんの話を聞いていました。会話に出てくる人物名を私は半分くらいしか分からないので、課題図書がどんどん目の前に積まれていくような感じでした。
でもまぁ刺激を受けられたから良かったかなぁ。お疲れさまでした(o^^o)



関連記事
スポンサーサイト



Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

由愛(ゆめ)

Author:由愛(ゆめ)
キリシタンのあしあとを求めて旅するサイト『天上の青』の管理人をしています☆

twitter

最新記事

ブログカウンター

最新トラックバック