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上智大学で行われたキリシタン文化研究会大会へ

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昨日は、上智大学で行われたキリシタン文化研究会大会へ。以前市谷キャンパスにあったザビエル像が、四谷キャンパスの図書館前に移されていて「およ」。入試日にあたり、いつもより若い学生たちの姿であふれていました。

さて大会の研究報告ですが、午前午後にわたり5つありました。トップバッターの澤村るり子氏「16、17 世紀フィリピンの日本人と日本町」は、キリシタン時代の日本人町がフィリピンのどこにあったのかを探るもの。

日本人町は1615年にサン・ミゲルに成立したことは確実ですが、それ以前に日本人が移住し住んでいた地域がどこで、「日本人町」と言い得るほどであったかをめぐり、先行研究と資料を調べた上で、マニラ近郊のディラオに日本人が居留していたが、「日本人町」であるとまでは言えないと結論付けました。

しかし質疑応答で、先行研究者の一人でもある清水有子氏が「日本人町」の定義を問うと、返答によどんでいました。先行研究に「居留地」とあるのに、それを「日本人町」と同義と判断し、(先行研究を指摘する)自論を展開していたので、私が客観的に見ても質問者の方に分があるように思いました。でもこうやって研究が研鑽されていくんでしょうね。

次は宮崎善信氏による「浦上四番崩れへの駐日フランス公使の対応について」。浦上キリシタン流配事件の際に、フランス公使だったウートレイの本国宛の報告を見ながら、日仏および日本とヨーロッパ諸国との協議内容を検討するものでした。

詳細な日付まで調べることで、協議におけるカードの切り方、タイミングなどがわかり、互いにかなり戦略を練って交渉していたことが感じられました。

例えば、ヨーロッパ諸国にとって信徒流配が抜き打ち的なものであったことや、(政府が)秘密教会の存在を知っていながら言わずにいて、会談中に満を持して抗議してきたことなどです。

三番目の楠根圭子氏「日本二十六聖人殉教報告がもたらしたヨーロッパの磔刑論争と宗教美術におけるその反映」は、フロイスの二十六聖人殉教報告に添えられた磔刑図が、(4世紀に磔刑が禁止されて、見たことがない)ヨーロッパ人に衝撃を与え、宗教画の描かれ方に一定の影響を与えたことを見ていくものでした。

ローマがキリスト教国となることで、磔刑は禁止され、人々は磔を見ることもなくなり、どんな風に行われるのかわからなくなっていたところに、日本の殉教記録が伝えられ、論争を引き起こすこととなったのです。

具体的には、荷重を支えるための跨(いで座る)台や足台が必要か、釘だけでなく縄や鎖も使うか、またそれらを描くか否かという問題です。結局は、宗教画に求められる聖性を考慮し、崇敬の念を起こさせる描き方に収斂していくのですが、その過程に日本が関わったということが興味深かったです。

午後に入り、小俣ラポー日登美氏による「イエズス会の公的な殉教観」では、Imago Primi Saeculiという1640年編纂のエンブレム・ブック(教訓を含んだ図像とその解読を助ける銘文を記した本)の中に描かれた日本での殉教者図像を解き、その意味を考察していくものでした。

これは一次資料ではなく、各方面からの情報を元に、フランドル・ベルギー管区のイエズス会が編纂したものですが、その分当時そこでどんな思惑が働いていたかがわかります。

結論的には、日本の殉教を古代ローマで行われた迫害と殉教になぞらえることで、イエズス会の働きを顕彰したということになりますが、海外宣教の実として日本が描かれ、それがイエズス会の偉業として挙げられていることは、キリシタン史にとっても注目に値するかと思います。

最後のスガンディ・アイシュワリヤ氏「贈答文化とイエズス会の日本布教戦略」は、ヴァリニャーノの「日本イエズス会士礼法指針」からキリシタン時代の贈答文化を研究したもの。マテリアルに着目するという最近の研究傾向にマッチした報告でした。

ヴァリニャーノがこの本とSumarioで贈答について詳細に述べ、対人関係構築、交流、交渉における贈り物の重要性を示していることは、以前からよく知られていることで、テキストの内容も解釈も目新しいことはないように感じました。

ただ終わりに、報告者が結語として話していた内容のうち、同時期に進められていた中国布教の方針策定に、日本での贈答文化に関する経験が影響していたのではないかという見解は、新しいものでした。

ただし、それがその通りかどうかは些か疑問で、質疑応答でも疑義が示されていました。しかし新しい目で、既に研究されたと思われていることを見直していくことは大切で、そこから従来は結びつけて考えていなかった分野へと視野を広げることも有益なことだと思います。

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全体的に若い人の発表が多く、5人中4人が女性という点でも、新しさを感じさせる研究報告でした。皆さん素晴らしいと感嘆しながら、自分も何か研究テーマを持ちたいなと思いました☆彡


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