古代オリエント博物館コレクション展
先日訪れた池袋の古代オリエント博物館、常設展(コレクション展と呼ぶ)もハマりますね。旧約聖書の世界を垣間見ることができて(*^▽^*)キラーン
エントランスホールを過ぎて展示室に入ると、目に入ってくるのが「シリアの発掘」コーナー。博物館の初代館長だった江上波夫(1906~2002年)を中心とする調査団が発掘したユーフラテス河中流域の遺物や鉄器時代(4~3千年前)の復元家屋を展示していて、旅の始まりを感じさせます。江上波夫はモンゴルのオロン・スム遺跡で景教の十字架墓碑を発見した人ですね。ここではそのことまでは触れられていませんけど。
次のコーナーは、なぜか時代を遡って、「最古のオリエント」。1万年前まで狩猟採集で生活をしていた人類の様子がうかがえます。展示品は写真撮影可のものと不可のものがあり、撮れなかったのですけど、原人が用いたハンドアックスが目玉のよう。これを握りしめながら(掘ることも叩くことも切ることもできるから)「最強!」と思っていた祖先のことを思いました。この時代に生まれて良かったわ、うん。
続いて世界最古の都市文明の一つ「古代メソポタミア」のコーナーへ。粘土と楔形文字が並んでいます。文字ができ、情報を伝達するようになったということが、いかに大きな進歩だったかが感じられました。旧約聖書に出てくるバアルの神像(BC1500年、シリア)もこちらに。バアルは東地中海一帯の神で、のちにはエジプトでも崇拝されました。
そこから進むと今度は「古代エジプトの文化」へ。アフリカ大陸でも文明が興り、ファラオを神として崇める王朝文化が営まれました。宗教文化も栄えていく時代だったのでしょうね。それらが思想・哲学へと発展し、広くヨーロッパへと伝わっていきます。博物館のポスターになっている彩色人物浮彫はここで見ることができます。
「古代イランとその周辺」のコーナーには、私が最近気になってきているエリアの発掘品が。農耕牧畜に加え、騎馬技術が導入されたためか、死者に捧げる供物容器も動物をかたどった物が多いように思います。この広大な地域を制し、オリエントを統一したのはアケメネス朝ペルシャ。BC6世紀のことでした。
最終コーナー「東西文化の交流」には中国と地中海世界を結んだシルクロードからの遺品たち。この道を通って、思想も宗教も文化も技術も工芸も美術もデザインも西へ東へと伝えられていき、そこにまた融合された文化が生まれたんですね。すごい。
ササン朝時代のカットガラス椀は今見ても素敵で、美しさの面から見ても、技術という面から見てもため息が出るほど。正倉院にあるのと同型のカットガラス椀もありますね。正倉院の物と違う点は、表面が風化して曇っている点。だけどその分「歴史の証人」的な貫禄があります。ガンダーラで発掘された仏陀頭部はなんと美形な。ギリシャ・ローマ世界の影響で、素材も形態も変わり宗教芸術として昇華したんですね。シルクロードがもたらしたのは、第二の創造だったのかもしれません。
それぞれの地域で発生し進化を遂げた文化を第一の創造過程だとしたら、それらが出合い融合することによる第二の創造が、この道の途上、各所で起こったのではないかと感じられました。
その道の研究者ならばもっと深い見識を持っていることでしょうけど、ちょっと訪れた一見さんの私でさえ、このようなダイナミックさを感じられたので、本物を見て心動かされる経験は大きなものですね。アクセスもいいので、また行ってみようかと思います。
古代オリエント博物館HP:http://aom-tokyo.com/
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