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キリシタンのあしあとを求めて・・・♪

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帚木蓬生「守教」の問題点;;

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帚木蓬生(ハハキギ・ホウセイ)の「守教」読みました。福岡の今村にも潜伏キリシタンがいて、長崎に続いて信徒発見となるのですが、彼らについてはほとんど資料が残されておらず、どんなふうに福音が入り、守られてきたのかよく分かっていません。その点を有名な歴史小説家である著者が縦横無尽に想像力の羽を伸ばして描いた小説で、第52回 吉川英治文学賞も受賞しています。


帚木蓬生は東大の文学部を出てからTBSに勤め、その後東大の医学部に入って精神科医になったというすごい経歴の持ち主。しかも歴史小説家としても山本周五郎賞などを獲得して確固たる地位を持っています。だからこんな高名な作者にキリシタンのことを書いてもらって感謝です。特に長崎とかでなく、あまり知られていない今村のキリシタンのことを取り上げてくれたことには、感謝状を贈りたいくらい。


しかし!致命的な間違いが上下巻にそれぞれ一か所ずつあります。「歴史小説」である限り、フィクションなのでどんなに想像力を働かせて描いてもいいのですが、その分周辺の歴史的事実にはちゃんとした事実を持ってこないと困ります。読んでみると宣教師の動きなどは資料を読み込み、詳細過ぎるくらい記述しているのですが、その一方で凡ミスがあるのです。


一つは大友宗麟の後妻ジュリアが娘と一緒に高橋村に逃れてきて一時暮らしたとなっているのですが、それは資料で確認できなくてもフィクションとして良いと思います。だけれど娘の顔を見て、「そういえば大殿(宗麟)に面影が似ている」と書いてしまうのはNGです。その娘はジュリアの連れ子なので、宗麟に似ているはずないのです。


また下巻ではファチマの祈りが江戸初期のロザリオの祈りに入っています。これは凡ミスを通り越して致命的ミスです。ファチマの祈りは20世紀ですからね。この本は新潮社から出されているのに、この程度の校閲がされなかったことに驚きます。


この小説が雑誌とかに連載されたものならば、読者からの注進によりすぐにミスが発見されたと思います。しかし書下ろしであるために、誰からも指摘を受けることもなく、しかも歴史小説の大賞を取ってしまうなんて・・・。あのう、大丈夫ですか?という感じです。


さてこの本の一番のクライマックスは、今村のキリシタンが殉教するシーンで、その思いがどんなだったかというところなのですが、そのキリシタン殉教者が埋葬された場所の上に、現在の今村天主堂が建てられています。以前一度この教行ったことがあるのですが、たまたまその殉教者の子孫の方と話すようになり、先祖たちが実際に拝していたキリシタン遺物を見せてもらったことがあります。


その人がこの小説を読んだらどうだろうなと思ったのですが、きっと嬉しがるだろうなと思いました。福岡でもあまり知る人がいない今村キリシタンのことを描いてくれ、しかも殉教者の気持ちにまでしっかり寄り添ってくれているので。だから私も一緒に嬉しがりたいと思います。


長崎と天草の潜伏キリシタン関連史跡が世界遺産登録の勧告を受けたことで、書店にはキリシタン関連の本が多く見られます。人々の関心が高まっています。だけれど校閲というか、その辺を見分けられる編集者がまだ足りないのかもしれません。せっかく出された本なので、後からでも修正して良い形で多くの人に読まれていってほしいなと思っております☆


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Comment

仰るとおりです。 

『守教』のご感想読みました。
そうですね、宗麟後妻のジュリアの連れ子は女子でしたね。突っ込みどころがたくさんありました…編集担当者は全く手を入れていないと言われても仕方がないです。今村を愛してやまない著者の想いが伝わってくる作品だけに残念です。
ほんとリベンジ版を書いてほしいと思います。
  • posted by 庫良 
  • URL 
  • 2018.06/26 21:56分 
  • [Edit]

そうですよね^^ 

ほんとにそうですよね。せっかくだから文庫版になるときにでも修正してくれたら良いですよね☆
  • posted by 由愛 
  • URL 
  • 2018.06/27 10:23分 
  • [Edit]

さすがですね 

ファチマの祈り、といっても私など気づかなかったでしょうね。ネットで調べて初めて知りました。ファチマ100周年が昨年ですから、カトリックの行事に関心を持っていれば気づいたはずですよね。帚木蓬生氏は専門の立場から、英国の詩人John KeatsのNegative Capabilityについて書いた本も出しているので、『守教』も読んでみることにます。
  • posted by 川流 
  • URL 
  • 2018.12/03 23:05分 
  • [Edit]

コメントありがとうございます。 

コメントありがとうございます。作品自体は力がこもっていて、読み応えがありますよね。博識な方でいろんな分野の本を出されているんですね^^
  • posted by 由愛 
  • URL 
  • 2018.12/04 12:10分 
  • [Edit]

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